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〒811-1213
福岡県那珂川市中原2-127
博多南駅前医療ビル2F


診療時間
月・火・木・金
9:00~12:30
14:00~19:00

水・土
9:00~13:00

※水曜日の午後は自由診療の方のみの診療となります。(完全予約制)

休診日
日曜、祝祭日
年末年始、お盆休み

092-954-1611
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女性更年期障害の治療

ホルモン補充療法(HRT) 漢方
プラセンタ療法 サプリメント

1. ホルモン補充療法(HRT)

ホルモン補充療法とは

ホルモン補充療法(HRT)とは、女性ホルモンの不足によって引き起こされるさまざまな症状を改善するために、からだの外から女性ホルモンを補充する治療法です。女性らしい若々しいからだを保ち、更年期障害の自覚症状を改善させるだけでなく、骨粗鬆症や動脈硬化や認知症を予防する効果があります。

ホルモン補充療法の効果

ホルモン補充療法には、次のような自覚症状の改善効果、疾患の予防効果があります。

ホルモン補充療法の効果

自覚症状の改善

血管運動症状の改善 ・・・のぼせ、ほてり、発汗、手足の冷え
精神症状の改善 ・・・不眠、イライラ、不安、抑うつ
身体症状の改善 ・・・動悸、めまい、頭痛、肩こり、関節痛
泌尿生殖器症状の改善 ・・・頻尿、尿漏れ、性交痛
肌の症状の改善 ・・・皮膚の乾燥や弾力低下、しわ

疾患の予防

  • 骨粗鬆症の予防
  • 脂質、糖質代謝の改善 → 動脈硬化、心疾患の予防
  • 認知症の予防
  • 大腸がんの予防
ホルモン補充療法を行うにあたって心配なこと

ホルモン補充療法によって起こる可能性のある副作用には次のものがあります。

  • 不正性器出血
  • 乳房の張り・痛み
  • 子宮内膜がんの危険
  • 乳がんの危険
  • 卵巣がんの危険
  • 静脈血栓塞栓症
  • 動脈硬化、冠動脈疾患
  • 片頭痛

ホルモン補充療法を行うにあたっては、ホルモン補充療法をしてはいけない疾患、慎重に行わないといけない疾患がありますので、それを守らなければなりません。また、定期的に乳がん、子宮がん、卵巣がんのチェックを受け、不正性器出血など、異常な症状が出た場合は速やかに主治医に相談する必要があります。

ホルモン補充療法ができない人、慎重に行う必要がある人

ホルモン補充療法(HRT)ができない人、慎重に行う必要がある人を次に示します。

禁忌症例
  • 重度の活動性肝疾患
  • 現在の乳癌とその既往
  • 現在の子宮内膜がん、低悪性度子宮内膜間質肉腫
  • 原因不明の不正性器出血
  • 妊娠が疑われる場合
  • 急性血栓性静脈炎または静脈血栓塞栓症とその既往
  • 心筋梗塞および冠動脈に動脈硬化性病変の既往
  • 脳卒中の既往
慎重投与ないしは条件付きで投与が可能な症例
  • 子宮内膜がんの既往
  • 卵巣癌の既往
  • 肥満
  • 60歳以上または閉経後10年以上の新規投与
  • 血栓症のリスクを有する場合
  • 冠攣縮および微小血管狭心症の既往
  • 慢性肝疾患
  • 胆嚢炎および胆石症の既往
  • 重症の高トリグリセリド血症
  • コントロール不良な糖尿病
  • コントロール不良な高血圧
  • 子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症の既往
  • 片頭痛
  • てんかん
  • 急性ポルフィリン血症
  • 全身性エリテマトーデス(SLE)

 (ホルモン補充療法ガイドライン2012年度版、p.58より)

HRTの適応と管理のアルゴリズム
HRTの適応と管理のアルゴリズム

「インフォームド・コンセントのための図説シリーズ ホルモン補充療法」(医歯薬ジャーナル社)より引用

ホルモン補充療法に用いられる薬剤

一般に保険診療でホルモン補充療法に用いられる薬には次のものがあります。
なお、当院では、保険診療(合成ホルモン)による女性ホルモン補充療法は行っておりませんので、ご了承ください。

エストロゲンを単独で補充すると、子宮内膜がんのリスクが増えるため、プロゲステロンを併用する必要があります。しかし、合成プロゲステロンである酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)(プロベラ、プロゲストン、ヒスロンなど)を併用すると、乳がんのリスクが増えるということが指摘されています。5年以上の投与は注意が必要です。

エストリールは、エストロゲンの中でも作用が弱いので、単独で使用することができます。

分類 成分 使用法 製品名 規格
エストロゲン製剤 結合型エストロゲン 内服薬 プレマリン 0.625mg
エストラジオール 内服薬 ジュリナ 0.5mg
貼り薬(パッチ) エストラーナ 0.72mg
塗り薬(ゲル) ル・エストロゲス 0.54mg
塗り薬(ゲル) ディビゲル 1.0mg
エストリオール 内服薬 エストリール 1.0mg
腟坐薬 エストリール 0.5mg/1.0mg
プロゲステロン製剤 酢酸メドロキシプロゲステロン 内服薬 プロベラ 2.5mg
内服薬 ヒスロン 5.0mg
ジドロゲステロン 内服薬 デュファストン 5.0mg
合剤 エストラジオール 内服薬 ウェールナラ配合錠 1.0mg
レボノルゲストレル 0.04mg
エストラジオール 貼り薬(パッチ) メノエイドコンビパッチ 0.62mg
酢酸ノルエチステロン 2.7mg

ホルモン補充療法の投与方法

エストロゲン製剤とプロゲステロン製剤を併用するホルモン補充療法の投与方法には、周期的併用法と持続的併用法があります。

周期的投与法とは、プロゲステロン製剤を12日間のみ併用する方法で、エストロゲン製剤の休薬期間を設ける間欠法と、エストロゲン製剤を持続して投与する持続法があります。
周期的投与法では、プロゲステロン製剤の終了後に月経のような消退出血が起こります。

持続的併用法とは、エストロゲン製剤とプロゲステロン製剤のどちらも持続して併用する方法です。
持続的併用法では最初は出血が起こることがありますが、時間がたつと次第に出血は起こらなくなります。

1. 周期的投与法
    1 25 30
  1a 間欠法    エストロゲン連日投与 休薬
       プロゲステロン12日間投与  
         
         
    1 25 30
  1b 持続法     エストロゲン連日投与
       プロゲステロン12日間投与  

2. 持続的投与法
    1   30
     エストロゲン連日投与
     プロゲステロン連日投与

2. 漢方

漢方

漢方は、更年期障害の中でも、冷えやのぼせや発汗などの血管運動症状や、イライラや不安やうつなどの精神症状に有効です。

単独で用いることも、ホルモン補充療法との併用でも用いることもあります。更年期障害に対して用いられる代表的な漢方には、加味逍遥散、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸があります。

漢方は、その人の体質「」によって使い分けられます。「証」は、やせ気味で顔色が悪く線の細い感じを持つ「虚証」、がっちりとした体格で体力のある「実証」、その中間の「中間証」に分けられます。「証」を診断するため用いられる簡単な問診票を次に示します。

  はい 中間 いいえ 点数
1. 体質は筋肉質なほうですか?
6 3 0  
2. かた太りのほうですか?
6 3 0  
3. 皮膚はつやがありますか?
8 4 0  
4. おなかは弾力的で緊張感がありますか?
8 4 0  
5. 食べ過ぎても平気ですか?
6 3 0  
6. 食事のスピードは速いほうですか?
6 3 0  
7. 1日でも便秘すると不快なほうですか?
6 3 0  
8. 暑さ、寒さに強いほうですか?
6 3 0  
9. 手足の冷えはありませんか?※
6 3 0  
10. 活動的ですか?
6 3 0  
11. あまり疲れないほうですか?
6 3 0  
12. 声は強いほうですか?
8 4 0  
13. 行動には常に余裕がありますか?
8 4 0  
14. 胃薬は苦いほうが飲みやすいですか?
6 3 0  
15. 寝汗はかかないですか?※
8 4 0  
※  9は、「冷え」がなければ「はい」、あれば「いいえ」を選ぶ。
※15は、「寝汗をかかない」なら「はい」、かけば「いいえ」を選ぶ。

漢方

当帰芍薬散は虚証、加味逍遥散は虚証~中間証、桂枝茯苓丸は中間証~実証の人に用いられます。それぞれの漢方が有効な人の特徴を次に示します。

当帰芍薬散 体力がなく青白い感じの顔色の人。
疲労感はあるが精神症状は少ない人。
冷え、めまい、むくみがある人。
加味逍遥散 体力はやや低下している人。
イライラ、不安、不眠、うつ症状などの精神症状が強い人。
上半身のほてり、のぼせ、肩こりが強い人。
桂枝茯苓丸 体力は中程度以上で腹の張りや圧痛がある人。
上半身ののぼせや手足の冷え、肩こりが強い人。
めまいや動悸が強い人。

上記以外に、のぼせや手足の冷えに対しては、虚証では温経湯、中間証では温清飲、実証でのぼせが強い人には三黄瀉心湯も用いられます。
1か月使ってみても症状に改善がなければ、その漢方はからだにあってないと思われますので、中止または変更する必要があります。

3.プラセンタ療法

プラセンタ療法

プラセンタとは、Placenta(胎盤)のことで、妊娠中胎児を守り育てるために母体内に作られる一時的な臓器で、出産により体外に排出されます。
プラセンタは胎児とへその緒でつながり、胎児に必要な酸素や栄養素を供給したり、胎児に代わって呼吸や消化や排泄の機能を行ったりしています。

プラセンタには、胎児を育てるのに必要な、たんぱく質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラル、核酸、ムコ多糖類、酵素、成長因子など、豊富な栄養素や生理活性物質が含まれており、次のような薬理作用があります。

プラセンタの薬理作用 自律神経調節作用、内分泌調整作用、基礎代謝向上作用、免疫賦活作用、抗炎症作用、抗疲労作用、抗アレルギー作用、血行促進作用など。


プラセンタ療法については、さまざまな症状や疾患に対する効果が報告されています。
なかでも、女性更年期障害においては、ほてり、のぼせ、発汗、イライラ、うつ、肩こりなど、さまざまな不定愁訴を改善する効果が証明されています。
また、月経前緊張症候群に対しても効果が認められています。
プラセンタの効果が報告されている症状や疾患には、次のようなものがあります。

プラセンタの効果がある症状・疾患 更年期障害の緩和、月経前緊張症候群の改善、うつ症状の改善、アレルギー疾患の改善、肝障害の改善、関節リウマチ症状の改善、肩こり・腰痛・膝痛の改善、美肌効果など


保険診療で用いられるプラセンタは、ヒトの胎盤から作られた注射薬で、女性更年期障害、肝炎、乳汁分泌不全に対して、健康保険が適応になっています。
プラセンタ注射の用法は、”1日1アンプルを毎日または隔日に皮下注射する”とされています。
注射の回数は、症状に応じて調節しますが、週2回前後が多いようです。

注射のプラセンタ以外にも、サプリメントとして、ブタやウマの胎盤から作られた内服のプラセンタがあります。
自由診療であれば、女性更年障害以外の、うつ症状、疲労感、冷え性、肩こり、頭痛の改善、アレルギー症状の改善、美肌目的でも、プラセンタの注射を受けることができます。1回に2アンプル以上の皮下注射や局所注射も可能です。

プラセンタは血液製剤の一種(特定生物由来製品)ですので、安全性に関して同意の上治療を受ける必要があり、プラセンタ注射を受けた人は輸血をすることはできません。しかし、安全面に関してましては、塩酸加水分解法を用い胎盤中のたんぱく質はアミノ酸に分解され、高圧蒸気滅菌によりウイルス・細菌は不活性化され、胎盤提供者は厳しいチェックを行い、感染などに対する安全性は非常に高いと考えられています。

これまでにプラセンタでの感染の報告はありませんが、有効性と安全性を十分に理解したうえで、治療を受ける必要があります。

4. サプリメント

更年期障害に対するサプリメン

更年期障害に対するサプリメントは、女性ホルモン様作用を増やす目的、更年期症状を和らげる目的、臓器障害の進行(骨、血管、脳、筋肉、肌の老化)を防ぐ目的で使用されます。更年期障害に対して用いられるサプリメントを、目的別に示します。

女性ホルモン様作用

イソフラボン
イソフラボンは大豆に含まれており、エストロゲンに似た働きをします。エストロゲン低下による症状の緩和を期待できます。また、骨粗しょう症、動脈硬化の予防にも役立ちます。

イライラ、不安、うつ症状を改善する

ビタミンB群、マグネシウム、アミノ酸
ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB6、マグネシウム、アミノ酸は、精神状態を調節する神経伝達物質を合成するのに必要な栄養素です。食事からの摂取が不足すると、更年期症状が悪化します。

疲労を改善する

ビタミンB群、ビタミンC、マグネシウム、カルニチン
ビタミンB群は、糖質や脂質のエネルギー代謝に必要なビタミンです。ビタミンC、マグネシウム、カルニチンには、疲労を改善する効果があります。

酸化ストレスを防ぐ

ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10、アスタキサンチン、亜鉛
フリーラジカルや活性酸素による酸化ストレスが減れば、ホルモンの分泌に良い影響 を与えます。動脈硬化や認知症の予防、肌の健康にも役立ちます。ビタミンEには血流改善効果もあります。

骨粗しょう症を防ぐ

ビタミンD、カルシウム・マグネシウム、ビタミンンK
ビタミンD、カルシウム、ビタミンKは骨が壊れるのを防ぎ、骨が作られるのを助ける働きがあります。

肌の健康を保つ

ビタミンC、アミノ酸、抗酸化サプリ
ビタミンCやアミノ酸はコラーゲンの原料になります。しわの原因の一つは、コラーゲンの低下です。

血管、脳の老化を防ぐ

EPA・DHA、抗酸化サプリ
EPA・DHAには、動脈硬化を防ぎ、虚血性心疾患、脳血管障害、認知症を防ぐ効果があります。

ビタミンB群、抗酸化ビタミン・ミネラル、ビタミンDなどが効率よく配合された良質なマルチビタミン・ミネラルが、ドクターズサプリメントとして販売されています。まず、マルチビタミン・ミネラルを摂取し、次にイソフラボン、カルシウム、EPA・DHAなどの追加を検討し、さらにビタミンC、ビタミンDの十分な補充を検討するのが良いと思います。

※当院では医師の診察後、必要と判断された場合にサプリメントを処方いたします。

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